関西みらい銀東大阪支店、1社ごとに仮説を設定 「融資渉外研修」で提案強化

2023.04.24 04:50
人材育成 営業・店頭体制 事業者支援
メール 印刷 Facebook X LINE はてなブックマーク
岡島興業の岡島会長(左)と地域活性化について話す太田支店長(4月5日、岡島興業)
岡島興業の岡島会長(左)と地域活性化について話す太田支店長(4月5日、岡島興業)

関西みらい銀行東大阪支店(太田誠一支店長=行員37人うち渉外20人。パート・嘱託7人)は、事業所の10年間の決算書を分析するなど1社ごとにニーズの”仮説”を設定。それをもとに課題をヒアリングして融資案件を組成する。2022年度の融資は上期に15億1400万円、下期に28億6200万円純増。支店長による「融資渉外研修」で人材育成と提案のブラッシュアップを図っている。


太田支店長は21年10月に着任。製造業をはじめとする事業所が多い地盤で、まず「お客さまを知る営業」を展開。渉外担当者には、社長の悩みは「販路拡大」「サプライヤー開拓」「経営基盤強化」の3点に集約されると強調。それらの課題に寄り添う提案で本音を引き出し、融資案件につなげる。


そのため、支店長による「融資渉外研修」を随時実施。各渉外担当者がターゲットにしたい事業所を持ち寄り、業種の情報や商流を把握し、10年間の決算書を分析。社長が悩んでいることの仮説を設定してヒアリング。間違っていれば次の仮説を考える。それによって、「そこまで考えてくれている」と感じて悩みを打ち明けてもらう。


たとえば、財務の健全化で借り入れの適正化を提案。経常運転資金では、仕入れたものを在庫期間を経て販売し、売掛金を回収した時点で立て替えが解消される。そのため、約定返済の借り入れではなく当座貸越などに切り替えることで資金繰りが安定する。設備資金では、設備の償却年数だけではなく平均的な耐用年数や土地、建物などを勘案した返済期間に変更する。


地域の活性化も支援する。有力地主の岡島興業は、近鉄・布施駅前に商業ビルを所有。築60年で建て替えを検討し、メインバンクの同店と協議。岡島和男会長の「住民を増やすことで地域活性化に貢献したい」との思いを共有し、銀行もマーケットを分析など全面的に協力。同社は商業施設とマンションの14階建て複合ビルに建て替えることを決断。3月には他金融機関との協調融資が決定した。


今後の目標は、各層のさらなる人材育成による支店の態勢整備。能力差によらず「だれがこの店を担ってもうまく回る仕組み、”東大阪モデル”を作りたい」と意気込む。


23年3月末業況=預金1412億600万円、貸出金1497億6400万円。


エリア情報


“モノづくりのまち”



”ラグビーの聖地”東大阪市花園ラグビー場
”ラグビーの聖地”東大阪市花園ラグビー場

 


同店は、合併前の旧近畿大阪銀行と旧関西アーバン銀行の母店同士が統合した大型店。貸出金は約1500億円、事業性融資先数は約800社。競合金融機関は三菱UFJ銀、京都銀、池田泉州銀、紀陽銀、大阪信金、大阪シティ信金、永和信金など。


東大阪市は、人口48万6000人。”モノづくりのまち”として有名で、製造業の数は約6000社。同市によると全国5番目、政令指定都市と除くと1位、製造業の密度は全国1位。


”ラグビーの聖地”としても知られ、「花園ラグビー場」は1929年に日本初のラグビー専用グラウンドとして完成。「全国高校ラグビー」を毎年開催。「ラグビーワールドカップ2019」の会場となった。

すべての記事は有料会員で!
無料会員に登録いただけますと1ヵ⽉間無料で有料会員向け記事がご覧いただけます。

有料会員の申し込み 無料会員でのご登録
メール 印刷 Facebook X LINE はてなブックマーク

関連記事

関西みらい銀とみなと銀、25年度から初任給引き上げ 大卒25万5000円に
人事異動 関西みらい銀行(2024年4月1日)
関西みらい銀、紺綬褒章受章で伝達式 滋賀県への国スポ支援で
伝達する東郷部長(左)と西山社長(4月8日、りそなグループ大阪本社ビル)
りそなグループ、小中高生向け金融教育動画公開 代ゼミの人気講師が解説

関連キーワード

人材育成 営業・店頭体制 事業者支援

おすすめ

アクセスランキング(過去1週間)