米シリコンバレー銀破綻、「含み損債券」投げ売りが引き金 

2023.03.11 16:08
海外金融当局
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米シリコンバレーバンク破綻のニュースを受け、世界的に銀行株が売られた(写真はニューヨーク証券取引所)

FDIC(連邦預金保険公社)など米金融当局は3月10日(現地時間)、スタートアップ向け融資事業などを手掛けるシリコンバレーバンク(SVB、米カリフォルニア州)が経営破綻したことを明らかにした。


2022年末時点での総資産は約2090億ドル(約28兆円)、預金は約1750億ドル(約23兆円)。FDICは預金者保護のため、サンタクララ預金保険国立銀行(DINB)を設立。管財人として全預金を移管した。現地メディアによると、全米史上2番目の銀行破綻規模という。現時点で保護対象外の預金額は確定していない。


同行は、スタートアップやベンチャー企業に対し、創業・成長ステージに応じた融資業務を主に展開。一方、そうした企業の預金を比較的高利回りで受け入れていた。


破綻に至った要因は、空前の大規模金融緩和環境からの急激な金融引き締めを起因とする財務悪化だ。コロナ禍の政策対応で、米銀を含め金融機関は預金量が大きく膨張し、預貸率も低下。超低金利下で余剰資金が積み上がるなか、SVBは利ざや確保へ償還年限の長い債券を多く購入・保有し、過度な金利上昇リスクを抱えていたとみられる。


一方、主な取引先である創業・成長ステージの企業は、内部留保が乏しいなど財務面の脆弱性を抱えているケースが少なくなく、銀行借り入れや市場性調達に頼りがち。FRB(米連邦準備理事会)の大幅な連続利上げにより、設備投資・運転資金などの調達コストが急上昇し、資金繰りに窮する先も目立ち始めていた。


そのため、これまで積んでいた預金を引き出す先が増え、預金量が急減。銀行側としては流動性資金を補うため、超低金利下に高い価格で購入した債券を投げ売らざるを得ず、多額の実現損を生み、顧客間に信用不安が広がりバンク・ラン(取り付け騒ぎ)に発展。預金流出に歯止めがかからない状況となったうえ、増資も頓挫し債務超過に陥った。


SVBの経営不安・破綻を受け、日米欧など主要市場のボラティリティが急上昇。10日の株式相場では、銀行株を中心に売られ、ニューヨークダウ工業株30種平均は前日比345.22ドル安の3万1909.64ドルで引けた。債券市場も米10年国債利回りが前日から約30ベーシス(0.3%)ポイント低下(債券価格は上昇)する場面もみられ、外国為替市場の米ドル円相場でも一時、円が前日比2円程度急騰した。


野村総合研究所の木内登英氏は、保有債券の含み損が破綻の要因となった背景から「日欧を含む世界の金融機関が抱える問題に通じる部分がある。金融機関収益にプラスとみられている利上げも一定程度進んでくると、深い逆イールド環境になるなどマイナスに働き、金融システム全体に影響が波及するリスクも否定できない」と動向を注視する。

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