日銀、4月から民間とCBDC実証実験 非金融含め幅広く参加募る
2023.02.18 04:50
日本銀行は4月から、民間事業者を交えた中央銀行デジタル通貨(CBDC)のパイロット実験を始める。2月17日に明らかにした。企業や個人といったエンドユーザーの利用も想定した実験環境を構築し、金融機関などの仲介機関間や法個人間決済などでの技術・運用面の検証を進める。併せて、金融機関を含む幅広い民間事業者を交えたフォーラムを設け、技術や知見を共有。制度設計における実務面での議論・検討も深めていく。
日銀は、2020年10月に公表したCBDCに関する取り組み方針に基づき、21年4月から実証実験を展開。具体的には、日銀内に実験システムを設け、発行する場合に想定されうるアイデアや機能が「技術的に実現可能か」をみる〝概念実証〟を段階的に進めてきた。1ユーザーの複数口座保有といった「実装の難度が高い周辺機能においても、システムの処理性能を維持できることを確認した」(内田眞一理事)ことなどを受け、取り組みのフェーズを一段上げる。
パイロット実験では概念実証と同様、実験用のシステムを構築。日銀とユーザー(法個人)を取り持つ仲介機関間や、スマートフォン、ICカードといったデバイス間などでの処理フローを確認。また、外部システムに接続した場合の課題・対応策といった点も検証する。一方、中国のような、実店舗や一般消費者を巻き込んだ実験は現時点で想定していないという。
「CBDCの制度設計を適切に進める」(日銀)ため、リテール決済に関わる民間事業者をメンバーとしたフォーラムも新設。仲介機関としての役割が想定される金融機関のほか、キャッシュレス決済や携帯電話など幅広い事業者を念頭に参加者を募って選定。技術や知見を寄せ集め、社会的に実装する場合の制度設計に生かしていく。
ECB(欧州中銀)など主要中銀では、実用化をにらんだ取り組みが進捗(しんちょく)・加速し、新興国のなかには発行・浸透するところも出始めている。日銀は、CBDCの導入について「国民的な判断」と能否(可否)を明らかにしていないが、「決済システムの変革は不可避。しっかりと準備していく」(神山一成・決済機構局長)と取り組みを推し進める。
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