【詳報】鈴木財務相が閣議後会見 新日銀総裁「最もふさわしい方を任命」

2023.01.17 13:27
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鈴木俊一財務相は1月17日の閣議後会見で、4月に任期満了を迎える黒田東彦・日本銀行総裁の後任人事について見解を問われ、「さまざまな条件を総合的に検討し、最もふさわしい方を任命する」と述べるにとどめた。新総裁人事や長期金利の上昇に関する質疑応答は以下の通り。


――債券市場で長期金利が上昇し、日本銀行が長期金利の上限とする0.5%を超えるような取引も出ています。これに対する受け止めをお願いします。また、長期金利の上昇は国債の利払い費の増加という形で国の財政にも影響が出るかと思いますが、現状への認識と今後の国債発行に与える影響へのお考えをお願いします。


「長期金利が一時0.5%を超える水準まで上昇したこと、これは承知をいたしております。国債金利、これは経済財政の状況でありますとか、海外の市場の動向等、さまざまな要因を背景に市場において決まるものでありますので、その動向についてコメントすることは、市場に無用の混乱を生じさせかねないと思いますので、直接のお答えは控えたいと思います。


その上で、我が国の公的債務残高がGDPの2倍以上に累積するなど、厳しい状況にある中で、金利が上昇すればご指摘のように利払い費の増加が起こり、それによって政策的経費が圧迫されて財政が硬直化する、といった恐れがあるわけであります。


こうした中で、財政規律を守ることは極めて重要でありまして、累積する債務残高を中長期的に減少させていくために、プライマリーバランスを2025年度に黒字化する、これによって債務残高対GDP比を安定的に引き下げるとの方針のもとで、市場や国際社会における中長期的な財政の持続可能性への信認が失われることがないように、引き続き責任ある経済財政運営に努めていきたいと考えております。


なお、令和5年度予算におきましては、過去の金利上昇の例を踏まえまして、積算金利を1.1%に設定しております。十分な予算を計上していると考えておりまして、直ちに何か影響が生じるということは考えておりません」


――4月に任期を迎える日銀総裁人事についてお尋ねします。大臣は新しい総裁に、どのようなことを期待され、どういった人物がふさわしいとお考えでしょうか。また、黒田総裁のもとで行ってきた金融緩和策について、継続すべきかどうかお考えをお聞かせください。


「非常に機微にわたるご質問だと思いますが、黒田総裁の任期は4月8日までとなっているわけであります。後任の人事につきましては、一般論になりますけれども、その時点において、さまざまな条件を総合的に検討し、最もふさわしい方を任命するということが基本であると、そういうふうに考えます。


総裁人事は国会同意人事でありますので、国会にお認めいただけるよう、ベストと思われる方をご提示できるように、政府としてしっかりと対応してまいりたいと思います。


そして、新しい総裁のもとでの金融政策についてでありますが、今のタイミングで予断を持ってコメントすることは控えますけれども、今後とも日銀には経済・物価・金融情勢を踏まえつつ、適切に金融政策を行っていただくこと、そのことを期待するということでございます」


――国債の償還の話ですけれども、財務省は10年物国債の表面利率を今月に入って上げているわけですけれども、これをまた上げなくてはいけない状況が来るかと思います。財務当局としてどういうふうに今の状況を見ていますか。


「あまり先のことを私がここでコメントすると、あたかもそういうふうになるということを前提に政策を考えてるようなことにもなりかねませんので、私が財務大臣という立場で発言するのはよろしくないと思います。しかし、いろいろな事態が起こってから考えますというのではなくて、財政当局としていろいろなことについての対応が遅れずにできるように、思いを巡らすということが必要だと思います」


――長期金利について、金利の上昇に伴ってイールドカーブが歪(ゆが)んで国債市場の機能が発揮されていないとの指摘がありますが、それに対応して日銀が追加的な手段を取る必要性についてお聞かせください。


「まさに今日、明日に決定会合が開かれるわけでありますが、これは日銀の今後の政策を決定する会合であるということでありまして、日銀の独立性のもとで行われる会合でありますので、私として、ここでこうなるんではないかとか、こうあるべきではないかとか、そういうことは申し上げません」

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