フィンテック経営者に聞く㉘ GMS・中島CEO
2022.11.27 04:50
日本に本社を置き、国内、東南アジアなどで金融包摂型フィンテックを展開するGlobal Mobility Service(GMS)。独自開発した車載IoT機器で車両データを常時収集し、カーローン、カーリースの与信に反映。従来型の審査では融資を受けられなかった層に、車を使った仕事に就ける機会を創り出している。中島徳至代表取締役社長CEO(55)に設立の経緯や事業内容、将来の展望について聞いた。(22年10月に総額19.5億円の資金調達)
設立の経緯は
「当社を創業する前は、フィリピンで電気自動車を製造・開発する企業を設立し社長を務めていた。そのなかで、世界中には自動車を買いたくてもカーローンが組めず、金融インフラの恩恵を受けられない人が多いということに気付いた。日本でも支払い能力があるにも関わらず、年に200万人近く従来の与信審査には通らない方がいる。働くために自動車が必要なまじめな方を支援したい。この思いから2013年11月に当社を設立した」
与信審査はどのように行うのでしょう
「エンジン起動を制御する車載IoT機器『MCCS』と、それで得た位置情報・走行情報などのデータを可視化・分析し、金融機関や決済システムと連携させるプラットフォーム『MSPF』の二つが与信モデルの根幹となっている。車両利用者の返済が滞った際には、『MCCS』でエンジンを遠隔で安全に停止でき、アプリで通知する。万が一支払いできない場合には、GPSなどで車両位置を特定し、車を回収する。貸し倒れ率は1.1%以下だ。一方、車は生活の必需品のため、利用者がコンビニなどで支払いを済ませれば3秒後にエンジンを再起動できる。『MSPF』の車両・金融データをAI分析することで、利用者にはメンテナンス推奨や効率的な運行を指示する。金融機関は新たな信用創造や次の金融商品の提供につなげることができる」
金融機関の引き合いは多そうだ
「グローバルでは金融機関とともに5年間で累計170億円分のファイナンスを創出した。日本では広島銀行や大垣共立銀行、愛媛銀行、スルガ銀行などと提携し融資サービスを提供していただいている。当社が貸金業ライセンスを持つ事業者と提携し、メガバンクや地方銀行10行程度が出資する融資ファンドの組成も検討中だ。ファンドで集めた資金を日本在住の外国人やシングルマザーなどのカーローン貸し付けに回し、さらに金融包摂を進める。23年前半の開始を目指したい」
※本シリーズは随時配信しています。過去の記事は下記からご覧いただけます。
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