フィンテック経営者に聞く㉖ UPSIDER 宮城・水野共同代表
2022.11.06 04:55
VISAブランドで法人向けカードと「支払い.com」を手掛けるUPSIDER。2022年9月時点で、両サービスの導入社数は5000社以上、累計カード決済額は500億円を超える。利用継続率も99%と高い。「上場のための法人カード」というキャッチコピーが示すように、伸び盛りのスタートアップ企業などの使用が多い。直近では上場企業での導入も進んでいる。10月には成長への原資として大手金融機関4社から467億円を借り入れた。共同代表を務める水野智規(写真左、37)氏と宮城徹(写真右、32)氏に起業の経緯や、金融機関との連携、今後の展開について聞いた。
起業の経緯は
水野 「ITコンサルタント会社に入社し、債権やファクタリングのシステム設計を行った。その後、金融情報を提供する会社でエンジニアなどを経験し、18年5月に2人で創業した。20年7月に今メインとなっている法人向けカードサービスを始め、22年4月に『支払い.com』の提供を開始した」
宮城 「前職のコンサルタント会社にいた際に大手金融機関を担当していたことが大きく、その中で大手のノンバンクのプロジェクトに関与した。共同代表という形は珍しいが、フィンテック企業を運営するに当たって、金融のコンサルタントだった私と、ITサービス作成に強みをもつ水野が目線を揃えることで、中長期的に世の中を変えるようなサービスを送り出すことができると考えている」
法人向けカードサービスの概要は
水野 「ウェブ上のバーチャルカードと物理的なカードの2種類を発行できる。利用料・年会費は基本無料で最短当日から利用できる。限度額は最大1億円以上で、カードは何枚でも発行できる。強みは、柔軟で安全なカード運用と、簡単な会計処理だ。カードごとに決済できる利用先と限度額を設定。決済時にはビジネスチャットSlack(スラック)に通知し、利用先リストで各サービスの利用額をモニタリングできる。不正利用があっても2000万円まで補償する。会計処理の面では、ウェブ上でカードが30秒程度で何枚も発行可能で、明細データは即座に管理画面に反映される。会計ソフトへのAPI(データ連携)・利用明細のCSV出力も可能だ。証憑(しょうひょう=領収書や請求書など取引の証拠)を自動で回収できる機能で、日々の会計処理の手間が格段に楽になる」
金融機関との関係が深い
宮城 「当社は、創業から金融機関の方々と新たなビジネスモデルを作るような関係を構築し、同じ方向に興味を持っている金融機関と協業しながら、一気に成長している。カード事業は市場も大きく、スタートアップ企業が1社でできるようなビジネスではない。法人カードはライフカードの助けを得ているし、『支払い.com』はクレディセゾンと共同運営している。これからも挑戦していく方々を金融の面で支えていきたい」
※本シリーズは随時配信しています。過去の記事は下記からご覧いただけます。
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