広がる「ちいきん会」活動⑤ 岡山ダイアログ

2022.09.25 04:50
広がる「ちいきん会」活動
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岡山ダイアログ挑戦し、変化し続ける部活へ


岡山にも「ちいきん会」を


2020年3月13日(金)、岡山財務事務所では地域金融セミナーを企画していました。また、セミナーだけの開催では物足りなかったので、業務外のイベントとして翌日に「地域金融にできること」をテーマに地域の活性化に熱い想いを持っている金融関係者、公務員、支援関係者、学生を対象として、「ちいきん会」のような交流会を企画していました。



実現できなかった交流会の案内チラシ
実現できなかった交流会の案内チラシ

しかし、このセミナー、交流会企画ともに当時広がり始めていた新型コロナウイルス感染により延期を余儀なくされ、その後もリアルでの開催は憚(はばか)られていました。



「単発イベント」の限界指摘され奮起


20年10月20日、岡山財務事務所では延期となっていた地域金融セミナーを新型コロナウイルス感染症対策として会場の参加人数を定員の半数までとしたうえで、中国財務局では初となるYouTubeライブ(詳細はこちらから)を利用したオンライン同時配信を実施しました。


コロナ禍が経済に大きな影響をもたらしているなか、地域金融機関に求められる役割等をテーマに、県内外から多くの皆様に参加いただき、主催者としても「やりきった」という満足感に浸っていました。


そんな時に橋本卓典氏から、「セミナーのような単発的なイベントでは、参加者のつながりを持てない。きっかけ、火種にはなるが、当事者のみんなに火をつけないと、組織、知識の相転移は難しい」、「部活のような個を解き放つ場があれば、個性や多様性は必ず放たれる」、「筋トレと同じで、運動し続けないと変革は起きない」という胸に突き刺さるご意見をいただきました。


自分としては満足していたこともあって、「なにくそ!」という思いと「やはりそうだよな」と感じるところもあって、「それでは継続的な部活をやります!」と宣言したのが、今につながる岡山ダイアログのきっかけです。



出会いを新しい何かに


記念すべき第1回目は、多胡秀人先生をお招きして、地域金融セミナーでの基調講演についての質問、意見交換をオンラインで実施しました。予定の時間を大幅に超過し、熱い意見交換の場となりました。


その後は、地域金融ソリューションセンターの竹内心作氏や金融庁(当時)の日下智晴氏、新田信行氏ら地域金融に縁の深い人を中心にお招きして概ね月1回のペースで開催しています。


ダイアログのやり方は、試行錯誤しておりますが、現在は、①地域金融に関連するテーマで、話題・課題になっていることを講師に1時間程度お話いただいたのち、②少人数(5人ほど)のグループに分かれて感想共有・意見交換、③全体での感想共有・質疑応答――といったスタイルとなっています。


特に、参加者同士のネットワーク構築につながるよう、グループセッションのメンバー構成には気を遣うとともに、楽しみの一つともなっています。「この人とこの人は繋がってほしい。この人たちが出会うと何か新しいものにつながるのではないか。」と思っています。



コロナ禍で生まれた嬉しい誤算


ダイアログの効果を数値的に測ることはできていませんが、継続開催することで参加者同士のネットワークができたり、自主的、組織的な勉強会に繋がったりしつつあるという感触は得ています。


参加者からは、「自分とは地域、組織文化、所属、年齢等が異なるメンバーとの交流により、自分との共通点、相違点に気付くことができた」「自分に何ができるのか、問題意識を持って自分事として考えられるようになってきた」という感想をいただいております。


新型コロナウイルス禍にあってオンライン会議が中心になっていますが、そのおかげで想定していなかったことも起きました。


オンライン会議なので移動するコストが発生しないため、北海道から沖縄まで全国から参加者があり、これまでは知り合うことができなかった人たちと容易に交流できるようになりました。当初、岡山県内での活動を考えていた自分にとっては嬉しい誤算でした(岡山県の参加者ももっと増えてほしい!)。



岡山ダイアログの一場面

また、菅野大志氏から、「中小企業庁金融課の政策担当の人が、事業再生の現実について意見交換したいそうなので、金融機関の人や支援者が多く集まっている岡山ダイアログでやってみませんか?」とのお話があり、場所を提供させていただいたこともありました。



課題は若い世代・女性の参加


岡山ダイアログを始めて2年弱になりますが、見えてきた課題もあります。


その一つに若い人、女性の参加者が少ないこと、参加者に広がりがないことが挙げられます。若い人たちは今後の世界を牽引していくことになりますし、世の中の半分は女性ということで、もっと多様な人が集まれるような場にしたいと思っています。私をはじめとしたオジさんばかりでは、新しい発想にも限界がありますので。


二つ目として、リアルでの開催も増やしていきたいと考えています。



新田信行氏による講演

何回かリアル開催をしたのですが、やはり同じ空間で時間をともにしていると、オンラインでは得にくい熱量を肌で感じることができます。



和気閑谷学校での論語学習

最後は、ダイアログの持続可能性についてです。企画、運営に携わってくれる人をもっと増やしたいな、と思っています。現在の運営スタイルが最善とは限りませんので、そこに集う人たちによって生まれる偶然性を受け入れ、いろんなことに挑戦し、変化し続けるダイアログでありたいと考えております。


以上、つらつらと紹介させていただきましたが、何はともあれ、一度お気軽に岡山ダイアログにご参加ください。新たな扉が開けます!



執筆者プロフィル



武田徳人


岡山県出身。1995年に中国財務局に入局。2018年(平成30年)の西日本豪雨災害を目の当たりにして、地域のために組織として、個人として何ができるか、前例に捉われず考えるようになる。現在、業務外の有志活動として、岡山県内の地域金融機関のネットワークを構築し、地域を元気にするべく試行錯誤中。



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