警察庁が送金規制を緩和へ 受験料は「本人確認不要」に

2022.06.27 04:43
法令・制度 マネロン対策
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警察庁は、金融機関の窓口で現金を振り込む際に本人確認を不要とする対象範囲を広げる。新たに、高校・大学の受験料、修学旅行の費用、給食費の支払いなどを対象に含める。6月末までに犯罪収益移転防止法の解釈を見直し、具体的な内容を公表する。


犯収法はマネーロンダリングを防ぐため、10万円以上の現金を振り込む顧客に対する本人確認を、金融機関に求めている。一方、利便性の観点からリスクが低い領域では本人確認を求めない対応を認めており、入学金や授業料の支払いについては、2016年に確認が不要となった経緯がある。


今回の措置は、全国地方銀行協会の要望を受けて、本人確認が不要な範囲を拡大するもの。地銀協は、本人確認書類の不備によって受験料納付などが間に合わなくなる顧客がいるため、規制緩和を求めていた。同庁は文部科学省と検討し、受験料のほか教育課程で必要な費用などの支払いについても、生徒・学生の実在性が担保されているためリスクが低いと判断した。


確認不要の範囲に含めることを検討しながらも今回見送りを決めたのは、学校に対する寄付金の支払い。生徒・学生の親族や卒業生などは、在校生本人に比べて実在するかの確認が難しいためだ。入学金と同時に寄付金を支払う場合はこれまでも確認不要とする対応を認めてきたが、寄付金だけを支払う場合は今後も本人確認を求める。


また、金融界が緩和を要望していた専修学校の一般過程や幼稚園などへの入学・入園金、授業料の支払いについても、引き続き本人確認を求める。高校や大学と異なり、法令で入学・入園の資格が厳密に定められていないためだ。


今後、同庁は振り込む際に本人確認が不要な費用の種類を具体的に例示し、ウェブサイトで公表する予定。公表を踏まえ、金融庁が金融機関に法令解釈の変更を周知する見通しだ。

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