広がる「ちいきん会」活動① 神奈川ひらつかダイアログ

2022.04.24 04:50
広がる「ちいきん会」活動
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平塚信金 ちいきん会

ちいきん会は、金融×公務員ミートアップイベントとして、官・金・民の有志が集うネットワークです。2019年3月の初開催より6回開催、フェイスブックグループページでは2,556人のネットワークまで広がっています。第1回「ちいきん会」から3周年を迎え、2022年3月7日に「一般社団法人ちいきん会」を設置しました。



有志が集い誕生した「ちいきん会」

本会は心理的安全性の担保があり、組織や役職などの肩書きを外して、「ノウハウの共有」や「地域課題」などについて参加者同士が対話することができます。各地域で新たなネットワークが構築され、様々な課題解決にもつながっています。しかしながら、新型コロナウイルス対策、新しい資本主義、DX化など、個人・組織の行動変容や、多様化するニーズへの対応力にはまだまだ課題が残っています。withコロナの今だからこそ、官・金・民の連携を、より強固な関係性にすることが課題解決の糸口になります。本コーナーでは、今までの取り組みのなかで生まれた新たなネットワークによる活動を紹介していきます。1回目は神奈川ひらつかダイアログで活動する平塚信用金庫営業統括部地域・経営サポート課の猪股裕が担当します。



一般社団法人化後に開催された「ちいきん会」。遠藤俊英・元金融庁長官(後列左から4人目)も参加した。

個人活動から組織につなげる


私が活動に参加するきっかけになったのは2019年の支店勤務時に横浜財務事務所の研修に参加し、当時のちいきん会主宰者であった菅野大志氏と出会ったことです。ただ、組織内での立場や仲間不足もあって一歩踏み出す勇気や自信がなく、1年以上も音信不通にしていました。しかし、ちいきん会での活動は普段の業務では決して出会うことができない方々と気軽に連絡が取れ、課題解決につながるという点に価値を感じ、2020年に個人の活動として「霞が関ダイアログ」・「しぞー会」へ参加しました。そこでつながったネットワーク活用することで①「地域の活性化」「地域金融機関の役割である地元事業者への付加価値の高いサービス」が今まで以上に向上できる②自身の強い熱意があれば地域金融機関に勤めながらも社会に変革をもたらすことができる――と確信し、神奈川県で初となる神奈川ひらつかダイアログを当金庫として立ち上げることを2020年12月に決意しました。組織として立ち上げることにしたのは、個人での活動のみでは勿体ないと感じていたことや、このネットワークを通じて組織を変革できるのではないかと思ったからです。


オンライン開催による施策紹介及び交流会の実現


ただ当時、金庫内でちいきん会に参加していたのは私だけで、個人活動を組織に持ち込むという点や、担当者ベースから上層部まで組織内の理解を得ることなどには、苦労しました。日常業務をやりながらの企画案作成などには、時間もかかりました。また、新たな取組みを実施するうえでは業務負担などの増加に見合った価値の提供がない限り、理解が得られないことにも悩みました。しかし、自身の力で組織変革したいという熱意と、その熱意を鼓舞してくれるちいきん会メンバーに支えられたことで組織内の壁を乗り越え、2021年2月に「ひらつかダイアログ」を初めて開催することができました。これまで2回開催し、参加者は200名超となっています。内容については、国の施策の活用例を所管省庁の職員の方々から直接ご紹介いただく「テーマピッチ」、少人数のグループに分かれて対話形式で理解を深め、双方向で交流を行う「グループセッション」に取り組んでいます。多くの参加者からコロナ渦での新たなネットワーク形成ができたなど、満足度の高い声が寄せられています。活動が実現したことで、組織内での価値を感じて当金庫のディスクロージャー誌にも紹介されました。個人としても、直属の上司から理事長に推薦頂き、金庫内で「ベストパートナー理事長賞」という項目で表彰されました。



ディスクロージャー誌の紹介ページ

ちいきん会経由による外部機関先とのビジネスマッチング実現


ちいきん会でのネットワークを通じて出会い、神奈川ひらつかダイアログへの参加をきっかけに2021年12月1日、県内初の大手鉄道会社と金融機関のマッチングとして、当金庫、小田急電鉄株式会社、株式会社ガイアックスの3社間で連携協定を締結しました。複数の対話の機会による取り組みなどに共感を頂き、関係性が築けたことが連携に発展しました。しかし、個人同士の熱意の共感だけでは組織同士の契約にはつながりません。大手鉄道会社と地域金融機関が連携するのは珍しいことであり、座組づくりでも複数の課題に直面しました。互いの組織の理解を得るため、実績づくりから入っていき、当金庫のお客さまを通じて、この取り組みに価値を見出していき、半年以上の時間をかけて契約に至りました。



3社連携の概念図

 


コロナに負けず地域内でマルシェ開催


ちいきん会を通じて、ネットワーク形成する手法を学んだ経験を生かして、コロナ渦で自粛ムードのイベント開催も実現できました。地域で有志のネットワークを立ち上げ、地域のコミュニティスペースを活用して、自治体・地域金融機関・地元高校・地域事業者が連携して開催した「みんなのマルシェ」です。このマルシェでは、「SDGs」をテーマとし、地元の高校生たちが育てた農作物を使ったカレーやデザートを提供するなど数時間ごとに入れ替わる形式で物販を行いました。ちいきん会のネットワークを生かして、興能信用金庫の紹介で石川県の高校生たちが作った「いちじくジャム」を販売するなど、14 店舗の参加による販売を行い、100名超の参加者が集まりました。初めのうちは関係者が多く取りまとめるのに苦労したものの、関係者の方々が日頃手を組むことが少ない機関と出会えることで実現できるという価値に気づき、最終的には関係者同士が自発的に行動するという変化が起きました。まずはやってみるという熱意だけで動きましたが、同じ熱意を持った人が引き寄せられるように集まり、地域活性化・地方創生につながる手応えを感じる活動になりました。




マルシェの様子(写真上)、にぎわいをみせる販売会(写真下)

今後について


ちいきん会のネットワークを通じて、延べ200名超の参加者や各関係者の方々と携わってきたことで、人的ネットワークが地域の各機関や事業者の課題解決や地域の活性化に繋がる重要な糸口だと実感しています。神奈川県内の巻き込みは徐々に進んできているものの、まだまだ不足している部分は大いにしてあります。その課題解決の一つとして、信用保証協会の方と一緒に神奈川県内での新たなネットワーク形成づくりとして2022年4月29日に「かながわナレッジ」をキックオフします。



本コーナーは毎月、第4日曜日に配信します。次回5月22日分は、藤本裕介氏(静岡新聞社・静岡放送)が、しぞー会の活動を紹介します。

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