大手金融機関、初任給30万円時代に 三井住友銀、4万5000円増
2025.01.17 04:40
大手金融機関を中心に「大卒初任給30万円時代」が到来しつつある。既に30万円超の初任給を支給する大手総合商社などグローバルに展開する企業との人材獲得競争に向け、見劣りしない水準に高める。
三井住友銀行は2026年4月から大卒初任給を30万円に引き上げる。現行水準からの引き上げ幅は4万5000円(17.6%)で銀行界トップクラスとなる。26年度の初任給は大学院修了(現行28万円)と大卒を一本化する予定。
東京海上日動火災保険は26年4月から、転居転勤同意者が遠隔地勤務となった場合の初任給を最大約41万円に引き上げる方向。現行の28万円から4割超上昇する見込みで、労働組合と協議を進める。
明治安田生命保険は25年度、全国転勤のある総合職コースの初任給を3万円増の27万円にする。2年連続の引き上げで、固定残業代を含めた実質の初任給は33万2000円となる。
大和証券グループ本社は25年度入社の大卒初任給を1万円増の30万円にする方向で労働組合との協議をスタート。岡三証券も25年度に新人事制度導入に伴い、初任給を5万円増の30万円にする。第一生命ホールディングスは、24年度から転居転勤を伴う内勤職の大卒初任給(固定残業代含む)を32万1000円に引き上げた。
一方で、大手地方銀行では「大卒初任給26万円」が一つの目安になったばかり。24年度には京都銀行や福岡銀行などが同水準に設定したほか、25年度には千葉銀行や滋賀銀行などが引き上げる。
東日本地区の地銀採用担当者は「学生の初任給への関心も高まり、質問も出ている」と打ち明ける。そのため、企業説明会やインターンシップでは給与水準の上昇幅や賞与支給の安定性、ビジネスモデルなども含め、総合的に判断することの必要性を強調したい考え。
また、採用ブランディング戦略として額面の〝見せ方〟も重要となる。ある西日本地区の地銀採用担当者は「総合職のエリアフリーコースでは、本店から離れたエリアの赴任手当も含めると30万円超のケースも出ている。処遇を説明する際にはその点も補足したい」と語る。