日銀、新紙幣を発行 3券種〝顔ぶれ〟一新 初日は1兆6000億円

2024.07.03 09:08
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新紙幣の引き渡し式で挨拶する植田総裁(7月3日、日銀本店)

日本銀行は7月3日、デザインを一新した新日銀券の発行を開始した。改刷は2004年11月以来20年ぶり。券面の肖像は、1万円券が「渋沢栄一」、5千円券が「津田梅子」、千円券が「北里柴三郎」にそれぞれ変わった。


8時から日銀本店で実施した新紙幣の引き渡し式で、植田和男総裁は「キャッシュレス化が進展しているが、現金は『誰でも、いつでも、どこでも、安心して使える』決済手段。今後とも大きな役割を果たしていく」と挨拶。国民の手元に広く行き渡って「日本経済を支える潤滑油となること」への期待を述べた。


同日中に、「1兆6000億円」が日銀から金融機関へ送り出される。植田総裁は氷見野良三副総裁や高口博英理事、金沢敏郎発券局長らと、来店した金融機関関係者へ新紙幣を引き渡す様子を視察した。


同時に全国の支店網から金融機関に支払われ、準備の整った先の窓口やATMを通じて流通する。


岸田文雄首相も新紙幣の発行に伴い日銀本店へ視察に訪れ、金沢局長から券面の特徴や今後の発行予定、足元の現金需要などの説明を受けた。岸田首相は、視察後の会見で「20年ぶりに新紙幣が開始される歴史的な日。国民に親しまれ、日本の経済に元気を与えてくることを期待したい」と思いを語った。



植田総裁(左)、金沢局長(右から2人目)から新紙幣の特徴や発行状況について説明を受ける岸田首相(右、7月3日、日銀本店)

新紙幣は、肖像を三次元に見せながら傾きによって図柄が変化する「3Dホログラム」などの最先端印刷技術を取り入れ、「高精細なすき入れ(すかし)」とともに世界で初めて採用した。


〝ユニバーサルデザイン〟も意識し、独自性と先進性を備える偽造防止技術を施した「誰もが利用しやすく分かりやすい銀行券」を志向した。


「改刷」は20年のスパンで実施。今回は19年4月の改刷公表から発行開始まで5年を超す準備期間を設け、紙幣を製造する国立印刷局で21年9月に印刷を始めた。


22年に量産体制に入り、23年度末に45.3億枚(1万円券=24.8億枚、5千円券=2.6億枚、千円券=17.9億枚)が備蓄され、24年度の発注高は29.5億枚(1万円券=18.3億枚、5千円券=2.1億枚、千円券=9.1億枚)。


発行日は、日銀取引先の銀行や信用金庫にアンケートをとり、窓口繁忙日などを避ける形で設定した。


「福沢諭吉」肖像の1万円札など旧券は改刷後も使える。日銀は「従来の日本銀行券が使えなくなる」といった誤情報や詐欺行為に対する注意を呼び掛ける。



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