FRB、6会合連続で金利据え置き インフレのくすぶり警戒

2024.05.02 09:17
金融政策 FRB
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米連邦準備制度理事会(FRB)は4月30~5月1日に開催した連邦公開市場委員会(FOMC)で、政策金利のフェデラル・ファンド・レートのレンジを5.25~5.5%に据え置いた。据え置きは2023年7月以来6会合連続となった。足元でインフレの減速ペースが鈍っており、FRBは利下げに対して極めて慎重な姿勢を強調した。


ジェローム・パウエル議長はFOMC後の会見で「インフレはこの1年でかなり緩和し、雇用も好調だ。これらは良いニュースだが、インフレはまだ高過ぎ、今後のさらなる進展については不透明だ」と金利据え置きの根拠を述べた。


FRBが重視するインフレ指標「PCE(個人消費支出)価格指数」の前年同月比を見ると、3月は総合指数ではプラス2.7%と前月の2.5%を上回り、市場予想の2.6%も上回った。変動の大きい食品とエネルギーを除いたコア指数は、プラス2.8%と前月と同水準となり、市場予想の2.7%を上回った。しかしジェローム・パウエル議長は「この2カ月は凸凹があったが、インフレが収束基調であることは変わっていない」とも述べた。


労働市場は、3月の非農業部門雇用者数が前月比で市場予想の21万4000人増を大きく上回る30万3000人増となり、失業率も前月より0.1ポイント下がり3.8%となるなど、需給はひっ迫した状態が続く。ただ、25歳から64歳の労働市場参加率の改善や移民による労働人口の増加などは継続している。さらにはFRBが注目する時間当たり賃金の前年同月比の上昇率も、1月は4.4%、2月は4.3%、3月は4.2%と少しずつ下落してきた。パウエル議長は「総じて労働市場は良い状態だ」と語った。


利下げについて、パウエル議長は「今年に入ってからこれまで、利下げに踏み切れるほどインフレが落ち着いたという大きな確信は得られていない」と慎重な見解を示した。ただ、「6月の会合で利上げをすることはないだろう」とも述べた。 


前回3月のFOMCでは、四半期ごとの経済見通しも発表されたが、そのなかでFOMCメンバーが予測する今年の利下げ回数の中央値が3回だった。しかし、その後のインフレ指標などを受け、市場では9月と12月の利下げを予測する声や、そもそも年内に利下げに踏み切れるのかーーなどさまざまな見解が交錯している。次回の6月11~12日に開催される会合では、新たな経済見通しが発表されるため、その結果が注目される。


ただ、米経済自体は堅調さを維持している。1~3月期の実質GDP成長率は前期比で年率換算1.6%の伸びとなった。これは市場予想の2.5%を下回ったものの、外需の貢献度(輸出入の差し引きによる)が下がったことが大きく、「内需だけで見ると決して米経済は悪くない」(ニッセイ基礎研究所)。


FRBの保有資産縮小については、6月から毎月の国債の償還上限を現在の600億ドルから250億ドルに引き下げることを決定した。エージェンシー債や政府系モーゲージ債は、毎月の償還上限を現行の350億ドルのまま据え置き、超過分は国債に再投資する。

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