被災者支援始まる 預金の便宜払いや優遇金利融資など 能登半島地震

2024.01.04 19:36
災害
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家屋の倒壊が多数発生した(1月3日、能登町)
家屋の倒壊が多数発生した(1月3日、能登町)

石川県能登地方を震源とする地震発生から4日が経過した。北国銀行や北陸銀行、地元信用金庫に加え大手行や損害保険会社など金融機関の対応が始まった。4日から通帳や印鑑がなくても預金の払い出しを始めたほか、優遇金利でのローン提供や事業者向けの相談窓口設置、保険料の支払い猶予など緊急対応で被災者の生活を支える。


北国銀は営業可能店舗で運転免許証など本人確認証を使って預金の払い出しや各種相談窓口を設置して資金ニーズに対応。住宅ローン新規実行手数料(計約23万円)のほか、消費者ローンや事業性融資の条件変更手数料を免除する。


能登地区に本店を構えるのと共栄信用金庫(七尾市)と興能信用金庫(能登町)も地元の顧客や事業者への対応を開始した。のと共栄信金は預金の払い出しや応急資金の手当て、融資返済猶予などの相談窓口を開設。興能信金も預金払い出しのほか地震被害に関する特別相談窓口を設置し、取引の有無を問わず事業者や個人の対応にあたっている。はくさん信用金庫(金沢市)は緊急支援相談窓口を設置し、災害復旧や資金繰りへ対応する。


富山県では北陸銀行や富山銀行、富山第一銀行、富山信用金庫が相談窓口を設置し、事業資金や個人のリフォームローンなどに特別融資で対応。富山銀は復旧のための運転・設備資金について基準金利から0.2%優遇する。


大手行も災害復旧に向けた資金支援を始めた。みずほ銀行、三菱UFJ銀行、三井住友銀行は、被災者に対して住宅ローンに優遇金利を適用する。みずほ銀は基準金利から1.85%を引き下げる。三菱UFJ銀は全期間一律遇金タイプの最優遇金利を適用、三井住友銀はWEB申込専用として基準金利から2.0%優遇する。このほか、3行は事業者向け融資も優遇金利で支える。


大手損保の東京海上日動火災保険、損害保険ジャパン、三井住友海上火災保険、あいおいニッセイ同和損害保険は、被害の中心となっている石川県など被災地に対応拠点を設置し、保険金の支払い体制を整えた。日本損害保険協会は、被災者の保険料支払いを7月末まで猶予する特別措置を行うと発表。火災保険や自動車保険、傷害保険など、自動車損害賠償責任保険を除く各種損害保険の保険料が対象となる。


これらに先立ち経済産業省は3日、政府系金融機関などに対し被災した中小企業や小規模事業者向けの貸付業務の対応を要請した。対象は日本政策金融公庫、商工組合中央金庫、信用保証協会。個別企業の実情を踏まえ、適時適切な貸出、担保徴求の弾力化、コロナ融資など既往債務の返済猶予など条件変更について柔軟に対応することを求めた。


この地震は1月1日16時10分ごろ、石川県の能登地方を震源に発生。気象庁によると、最大震度7で地震の規模を示すマグニチュード(M)は7.6を記録した。地震は北海道から九州地方にかけて震度6強~1を観測。この地震により北陸地方を中心に津波や火災、ビルや家屋の倒壊など各地で被害がでた。2日以降も余震が続いている。


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