ECB、11会合ぶり金利据え置き

2023.10.27 08:08
金融政策 ECB
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欧州中央銀行(ECB)は10月26日にギリシャのアテネで開催した金融政策理事会で、11会合ぶりに三つの主要政策金利を全て据え置いた。2022年7月以来10回連続、合計450ベーシスポイントの利上げを行ったが、1年3カ月ぶりに休止した。


インフレの目標を2%に設定しているECBは声明文で「インフレは9月に著しく下がり、基調は引き続き軟化している」と、インフレの改善が進んでいることを強調した。ユーロ圏の9月の消費者物価指数の上昇率は、総合が前年同期比で4.3%(市場予想4.5%)、エネルギーと飲食料品を除いたコアは4.5%(市場予想4.8%)。20カ国中15カ国の上昇率が前年同月比で低下した。


今後について声明文には、「この水準での主要政策金利が十分に長い間維持されれば、2%のインフレ目標に向けて実質的な貢献を果たすだろう」と前回とほぼ同様の文言が盛り込まれた。一方でクリスティーヌ・ラガルド総裁は、「今回金利を据え置いたからと言って、もう利上げしないとは言っていない」「利下げは全く議論していない」などと述べ、利上げ打ち止めや利下げについての言質は与えなかった。


ECBは、ユーロ圏の経済活動は製造業、サービス業ともに弱まっているが、インフレが収まってくるにつれて家計の実収入が上がり、需要が刺激されて再び活発化するとの見方を示した。リスク要因としては、ウクライナ戦争やイスラエルとハマスの紛争などがエネルギー価格の短期的な上昇をもたらす可能性を示唆した。同時に異常気象による食品価格高騰の懸念も示した。


また、パンデミック緊急購入プログラムの償還元本の再投資終了を早める意見がECB内で出ていることについては、ラガルド総裁は「議論していない」と答え、予定通り24年末まで行う考えを示した。


今回据え置かれた三つの主要政策金利は以下の通り。①預金ファシリティ金利(金融機関が手元資金をオーバーナイトでECBに預け入れる際の中銀預金金利)は4%②限界貸出ファシリティ金利(金融機関が急な資金需要が生じた場合、オーバーナイト資金をECBから借り入れる際の金利)は4.75%③主要リファイナンスオペ金利(ECBおよびユーロ圏内の中央銀行が行う公開市場操作において金融機関が入札可能な下限金利)は4.5%。

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