マーケット・トレンド(為替) 中東情勢が緊迫化も安全通貨の円買いは入らず

2023.10.18 04:25
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ドル円は3日の海外市場で一時1ドル=150円10銭台まで上昇。いったん147円40銭台まで急反落したがすぐに切り返した(円買い介入の有無は現時点で不明)。実需筋の円売りが控える中、ドル円はその後ジリジリと下値を切り上げ、ワントライで再び節目の150円を狙える149円台で推移している(10/16執筆時点)。


6日発表の9月の米雇用統計は、市場予想を大きく上回る雇用増を示した。米長期金利(10年国債利回り)は一時16年ぶりの高水準となる4.88%まで上昇したが、引けにかけ低下に転じると、株高・ドル安で反応。


7月半ば以降、上昇ペースを強めた米長期金利だが、米政策金利が既に景気抑制的な金利水準まで引き上げられたことや米長期金利上昇による米国経済への引き締め効果を背景にFRB高官から追加利上げに否定的発言が相次いだこと、さらに中東情勢の緊迫化に伴う逃避先としての米国債需要が相まって米長期金利が低下してきたとみられる。


ただその一方で、10年や30年の米国債入札が低調だったことからもわかるように、投資家の間では米長期金利は当面高水準が続くとの見方が優勢だ。筆者は米長期金利が既にトップをつけ、今後は低下に向かうとの見方をメインシナリオにおいているが、少なくとも年内の金利低下ペースは緩やかなものに留まりそうだ。


外為市場では、中東情勢の緊迫化を受けて伝統的に安全通貨とされるスイスフランが上昇。これまでは円もリスクオフ時に安全通貨として買われたが、実際には実需も投機も売りが優勢であり、かつての円の位置づけは一変している。


東海東京調査センター投資戦略部グローバルストラテジーグループ 金利・為替シニアストラテジスト 柴田秀樹氏

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