全銀システム障害続く 振込未処理87万件 12日朝の復旧めざす

2023.10.11 21:06
システム障害
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障害の影響をオンラインで説明する全銀ネットの辻松雄理事長(左)と千葉勇一企画部長(10月11日)
障害の影響をオンラインで説明する全銀ネットの辻松雄理事長(左)と千葉勇一企画部長(10月11日)

全銀システムの障害は発生から2日目の10月11日も復旧せず、11金融機関で他行宛て振込が遅れたり着金できなかったりする状況が続いた。11日夕方時点で着金できていない送金は2日間合計で87万件に及んでおり、夜間に稼働する「モアタイムシステム」など代替手段を通じて早期処理を急ぐ。不具合が起きたプログラムを改修し、10月12日8時半までの復旧を目指す。


利用者に影響が生じる全銀システムの障害は、1973年の稼働以降で初めて。2日間で着金が遅れるなど影響が出た可能性のある送金は仕向け・被仕向けを合わせれば500万件を超えた。仕向けは10日の受け付け分が150万件、11日分が105万件。未処理として2日間合計で87万件残っており、代替手段を使って解消を急ぐ。被仕向けは一部に遅れが生じたが、10日分の152万件は処理を終え、11日分の99万件も早期に解消できる見込み。


障害は10日朝に発生した。全銀システムと各金融機関を結ぶ「中継コンピューター(RC)」のソフトウェアに不具合が起きた。銀行間で支払う内国為替制度運営費をチェックするプログラムに問題が生じた。10日夜に本格的な改修に入ったが、翌11日中に復旧できなかった。


全銀ネットは12日8時30分に始まる「コアタイム」でのオンライン処理復旧へ作業を急ぐ。内国為替制度運営費をゼロに設定する方法で復旧を試みる方針。10日夜の作業より負荷を軽くする方法を選び、早期処理を優先させる。運営費は事後に精算することを想定する。



全銀システムの障害を伝える三菱UFJ銀の張り紙(10月11日、東京都千代田区)
全銀システムの障害を伝える三菱UFJ銀の張り紙(10月11日、東京都千代田区)

他行宛て振り込みができなかったのは、三菱UFJ 銀行、りそな銀行、埼玉りそな銀行、関西みらい銀行、山口銀行、北九州銀行、三菱UFJ信託銀行、日本カストディ銀行、JPモルガン・チェース銀行、もみじ銀行、商工組合中央金庫の11金融機関。


影響が出た金融機関では取引を制限する事態になった。三菱UFJ銀行が最長で11日12時に受け付けを締め切り、着金を急ぐ場合は他行の利用を呼びかけた。りそな銀行も正常に稼働する「モアタイムシステム」の利用を促した。


全銀ネットは6年ごとにRCを更改しており、不具合が生じた金融機関は23〜29年に24回に分けて移行するうち第一陣だった。内国為替制度運営費の計算に自前のシステムを使っている金融機関には影響が生じなかった。


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