【フロントライン】ISDN終了対応特集 代替案への移行が急務

2023.05.21 04:50
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日本電信電話(NTT)が長年提供してきたISDN回線(総合デジタル通信網)の「ディジタル通信モード」が2024年1月にサービス終了する。金融機関では、エレクトロニックバンキング(EB)や館内放送などの用途で広く利用されてきた。今回の終了に伴い、代替サービスへの切り替え対応が急務になっている。本特集では、ISDN回線からの切り替えを支援するベンダーのなかから2社を紹介する。


ISDN回線は、一つの電話回線契約で二回線分利用できることが特徴だった。電話とファクスや、データ通信の同時利用で活躍してきた背景がある。NTTは補完策として、27年ごろまでは即座に利用停止しないとしている。しかし、回線遅延や障害発生のリスクなど品質低下が案内されており、早急な切り替えが必要だ。


社内放送網を更新


三菱電機インフォメーションシステムズは、本部から各支店に放送する業務連絡や緊急放送用の設備刷新を支援している。


金融機関の放送設備は、ISDN回線が使用されているケースが多い。店舗やATMコーナーでの特殊詐欺の注意喚起、キャンペーン案内など幅広い用途で利用されてきた。しかし、「ディジタル通信モード」の終了により、本支店間のコミュニケーションや災害時の緊急放送に支障をきたす可能性が出てきた。また消防法では、建物の収容人数などに応じて放送設備の設置を義務化しており、対応が急がれている。


同社では、放送設備に金融機関内のIP網(ネットワーク)を利用し、本部・支店間の放送ネットワークを構築。現行のスピーカーなどの設備に接続工事を行うことで導入できる。また、パソコン(PC)の管理画面で各拠点の接続状況などを閲覧。本部から対象先を選択して放送も可能だ。


同社には、全国の金融機関から引き合いが相次いでいるが、半導体不足や部品の価格高騰などを要因に納期が遅れる可能性も出ている。同社の営業担当者は「24年1月に間に合うように、とにかく早めに相談してほしい」と話す。


短期で回線移行支援


セイコーソリューションズは、3~4カ月の期間で回線移行を支援する機器「SSL/TLSアクセラレーター SX‐3945‐ZT」を提供。インターネット回線とサーバー/ホスト間に機器を接続することで、システム変更は最小限にとどめて導入できる。


金融機関ではインターネット回線への移行の際、データの送受信手順である全銀協標準通信プロトコル(全銀TCP/IP手順・広域IP網)が推奨するSSL/TLS方式などの通信暗号化が必要となる。ISDN回線で利用していたホストは暗号化対応が難しい場合が多く、機器の刷新やソフト改修が課題だった。


同機器は、回線と現行ホストの間で暗号処理を実施。ホスト側のソフト改修が不要になり、刷新コストをかけずに回線移行が可能になる。


現在は全国の金融機関で業態を問わず利用されており、24年1月のサービス終了に向けて引き合いが倍増している。


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