第1回 もう聞き飽きた「DX」、でも“使わないと損”な理由   〜ムダをなくして売上を伸ばす第一歩〜

公開日

2025/11/01

 


「DX」という言葉に食傷気味の経営者が増えている。 しかし本来は、“ムダを減らし売上を伸ばす”実践的な経営改善手法である。 本連載「経営層にも伝わるDX・マーケ入門」は、金融機関の現場を知るシナジーマーケティングの足立龍氏が、中小企業と金融機関双方に役立つ“DX”の考え方と実践ヒントを、豊富な事例とともに解説する。


 




「DX疲れ」でもう聞き飽きた?


皆さま、はじめまして。シナジーマーケティングの足立と申します。
これから8回にわたり、会社の未来を創るためのヒントをお届けします。
さて、本日のテーマは「DX」です。…と申し上げた瞬間「またその話か」「もう聞き飽きたよ」と感じられた経営者の方も、正直少なくないのではないでしょうか。




ムダを減らし、売上を伸ばす──本来のDXとは


数年前からあらゆるメディアで叫ばれ、DXを推進しない企業は時代遅れだと言わんばかりの風潮。
その言葉の響きに、少し“鬱陶しさ”や、思うように進められていない現状への“諦め”を感じておられるかもしれません。
ですが、もし「DX」という言葉を一旦忘れて、「昔は専門家しか使えなかった便利な道具が、今は月々数千円で誰でも使えるようになり、それを使えば会社のムダがなくなって、しかも売上まで伸ばせる」と聞いたら少し興味が湧きませんか?




まずは社内の“アナログ業務”を見直す


まずは一度、自社の中を見渡してみてください。

・顧客情報は長年勤めているベテラン営業担当者の頭の中にしかなく、その人が休むと誰も対応できない

・請求書や発注書を手作業で作成・郵送しており、月末は経理担当が残業漬けになっている

これらは、長年会社を支えてきた慣習かもしれませんが、会社の体力を静かに奪っていく「ムダ」に他なりません。
これらの多くは、今では安価なクラウド型のソフトを導入するだけで劇的に改善でき、多くの経営者が真っ先に求める「コスト削減」「生産性向上」に直結します。




DXの本質は「人」にあり


しかし、本質はそこから先にあります。業務効率化で生まれた時間やお金をどう「売上向上」につなげるか。
例えば顧客情報を全社で共有できていれば、お客さまの過去の購入履歴から「そろそろ、あの部品が必要な頃ではないでしょうか?」と先回りした提案ができます。
これが「顧客への価値向上」であり、売上につながるのです。




顧客目線で未来を創るために


ただ、ここで一つ大きな壁が立ちはだかります。
それは、どんなに便利な道具も、それを使う「人」がいなければただの箱だということです。
「この道具を使って、どうお客さまに喜んでもらうか」「どの業務をデジタル化すれば、新しいお客さまとの出会いが生まれるか」。
そうした商売の根幹を考え、実行できる人材が社内にいなければ、DXは単なるコスト削減だけで終わってしまいます。
会社の未来を創るのは高価なシステムではなく、顧客目線で進むべき道を考えられる「人」です。
道具以上に「人」の育成が、DXを推進する上での必要不可欠なパーツとなります。


 


この連載では、地域の中小企業と金融機関に必要な
「人材育成」「顧客目線での(売れるための)DX推進」を軸として、これなら取り組めそうだ/取り組みたい!と感じていただけるような記事を全8回でお届けします。

次回は、『「コスト」と「人材」の壁を越える!専門知識ゼロでも始められるDXの現実的な第一歩』 をテーマにお伝えします。
どうぞご期待ください。


 


 


 



執筆:足立 龍(あだち りゅう)
シナジーマーケティング株式会社
DX事業部 DXBグループ
シニアサービスコーディネーター


 


略歴


広告代理店にてセクションマネージャーとして代理店及び顧客対応業務に従事。
2021年にシナジーマーケティング株式会社に入社し、DX人材育成事業に立ち上げメンバーとして参画。
地方銀行や信用金庫、その取引先企業を中心に、多種多様な企業のDX人材育成に尽力。
顧客に寄り添い、共に課題解決を目指す姿勢で厚い信頼を得ている。


 

足立 龍

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