政府、NISAを抜本拡充 「新しい資本主義」具体化

2022.06.01 04:45
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二つの会議後に会見する山際大臣(5月31日)
二つの会議後に会見する山際大臣(5月31日)

政府は5月31日、「新しい資本主義」の実現に向けた計画の全体像を示した。NISA(少額投資非課税制度)の抜本的な拡充や、創業融資で経営者に個人保証を求めない新たな信用保証制度の創設を盛り込む。財政運営の考え方をまとめる「骨太の方針」では、財政健全化の従来目標を維持しつつ「必要な検証」に取り組む姿勢を打ち出す。


同日、「新しい資本主義実現会議」と「経済財政諮問会議」を続けて開催。「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画」と、2022年版の「骨太の方針」の原案を示した。どちらも、近く正式に閣議決定される。山際大志郎・経済再生相は「官民が共同で社会課題を成長のエンジンに変える」と、経済成長への意欲を示した。


金融分野の改革は「新しい資本主義」の中核を担う。「個人金融資産を全世代的に貯蓄から投資にシフトさせる」と明記し、NISAの拡充を目指す。iDeCo(個人型確定拠出年金)も加入年齢の引き上げなどを検討し、12月末までに一連の改革案を「資産所得倍増プラン」としてまとめる。


個人保証を求めない創業融資は、スタートアップ企業が育ちやすい環境を用意する狙いで新設する。未上場株を取引できる流通市場の整備や、上場後に未上場企業を買収するSPAC(特別買収目的会社)の解禁に向けた検討も続ける。GPIF(年金積立金管理運用法人)の資金は、ベンチャー投資に振り向けるよう促す。 


「骨太の方針」は、財政健全化に対する姿勢の取りまとめに腐心した形跡がうかがえる。25年度を達成時期とするプライマリーバランスの黒字化目標について、自民党からは再検証を求める意見が出ていた一方、財務省の財政制度等審議会は堅持するよう要求。21年版の方針に記載されていた「堅持」という文言の記載は見送り、目標を維持したうえで「状況に応じ必要な検証を行っていく」構えを示す。

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