投信ビジネスの勘所 先進国株との組み合わせ戦略
2025.09.13 04:10
公募投資信託の資金純流出入額は2024年1月の新NISA制度開始を契機に大幅な流入超となった。25年7月までの1年7カ月間で純流入額は約21兆円、そのうち先進国株式ファンドが約17兆円と全体のおよそ8割を占めた。
パフォーマンスも好調で、日本を除く先進国の株式で構成されたMSCIコクサイ・インデックス(為替ヘッジなし、円ベース)を連動対象とするパッシブファンドは24年に約34%上昇した。
一方、金利水準と株式リスクプレミアムから推計した先進国株式の期待リターンは約10%である。期待リターンとは、長期的に見込まれる平均的なリターンを示す指標であり、昨年の実績はこの水準を大きく上回っていた。
昨年に投資家の多くは先進国株式ファンドの好成績を享受した一方で、ポートフォリオの株式比率が高まったことで過度にリスクを取ってしまっている可能性もある。
そのため、投資目的やリスク許容度に応じた資産配分の見直しが求められるが、効率的にリスクを低減させる代表的な方法が他資産を組み合わせて持つ戦略である。
図は一例として、先進国株式と金を半分ずつ組み合わせた場合の期待リターン・リスクの位置を示したものである。単純平均では2資産を結ぶ直線上の中点となるが、実際には分散効果が働き、リターンを維持しつつリスクが抑制されることで、より効率的な運用成果を得ることが可能となる。
また、金の代わりに債券等を組み合わせることでも分散効果を期待できる。
これはポートフォリオ理論の基本に則った組み合わせ戦略であり、特に大きな利益を得た後の投資家にとっては運用資産の安定性を高めるうえで有効である。市場環境が常に良好とは限らず、近年の株高が継続する保証もないため、こうした守りの運用戦略は長期的な資産形成にとって重要な備えとなる。
三菱アセット・ブレインズ ファンドアナリスト 小久保 和洋
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